みなさんは防湿庫をつかっておられるだろうか。
カメラは湿気に弱い。
デジタルカメラは内部の構成部品がほぼ精密機械であるため、万が一、内部の実装基板に結露が発生したまま使用すると故障の原因となる。
それ以外にも、カメラボディのグリップ部分などに使われているゴム部品に加水分解が発生したり、場合によってはカビの発生を招く恐れもある。
防湿庫を正しく使うことで、これらの発生を防ぐことが出来るが、実はカビの発生は防湿庫だけでは防ぐことが出来ない。
カビは、皮脂汚れなどを栄養として湿度の高い環境で発生する。そのため、防湿庫で保管する前にカメラ自体を清潔に保つ必要がある。
これはレンズでも同様である。レンズはレンズ面だけでなく最も手が触れる鏡筒に汚れが集中する。
汚れが付きやすい部位は下記のとおり。
カメラボディ
・グリップ
・シャッターボタン
・ダイヤル類
・アイカップ
・モニター
・各ボタン
・レンズリリースボタン
レンズ
・ズームリング
・フォーカスリング
・絞りリング
・レンズフード
・鏡筒の底面部
これらを重点的にOAウエットティッシュなどで汚れを拭き取り、防湿庫で保管すると効果的である。
なお、防湿庫で保管する際には、レンズはボディから外し、レンスキャップやレンズフィルターも外したほうが良い。
フィルターはフィルターケースなどに入れ蓋はせずに空けておく。
庫内の湿度は、一般的に30%~50%が良いといわれている。
湿度が低すぎるとレンズのリング部のオイルに影響が生じて滑らかな動きを維持できなくなるためだ。
僕はよく自転車に乗って撮影に出かける。
自転車のハンドルを握ったその手でカメラやレンズを操作するのだが、自転車のハンドルは少し考えると相当汚いと思う。
また、クルマもハンドルが最もバイ菌が多いと言われ、スマホに関しては便座よりもバイ菌が多いと聞く。
そんなモノに触れた手でカメラを操作する。そして清掃もせずに保管するのは、いくら何でも良くないことだと感じる。
多くの人のカメラはスマホより高額であるし、スマホよりも長く付き合っているのではないだろうか。
中にはスマホどころか自動車よりも高額なカメラシステムを使っておられる方もいらっしゃるだろう。
防湿庫はそれなりの価格がするものでありながら、写真作品に直接影響するものではありません。
しかし、カメラやレンズを湿度から守ってくれることはもちろん、紫外線や近赤外線、埃、時には災害などから守ってく入れることもあります。実際に天井からの落下物や割れたガラスなどからカメラやレンズを守ってくれた話を耳にします。
防湿庫は地味な存在ではありますが、カメラの機能保全のためにはなくてはならないアクセサリーなのです。