ソニーのBDメディア生産終了のニュースで感じたこと

雑感

僕はソニーが割と好きである。
まず、自宅のTVがソニーだ。5年前に購入した当時の高級モデルで75インチの大画面。
TVやYoutubeは勿論、Netflixやディズニープラス、Amazonプライムビデオ、ゲーム等にバリバリ使っている。
BDレコーダーもソニーだし、PS4とPS5は初期モデルを購入している。
ソニー好きは今に始まったことではなく、はるか昔の中学生の頃、貯めた小遣いとお年玉でソニーの録音再生が出来るMDウォークマンを買ったことがある。たしか45,000円くらいだった。
デジタル入力を備えていたのでCDをデジタル転送でダビングしたり、深夜ラジオにハマっていたのでラインケーブルで繋げて録音したりと活躍し、社会人になってiPodを買うまで使った。
今でも動作する状態でカメラと一緒に防湿庫で保管してあり、当時録音したMDメディアも手元に30枚ほど残っている。
僕はこのソニーのMDウォークマンが大好きだった。

ソニーは記録メディアを作るのが好きなメーカーだと思う。
ざっと振り返ってみても、フロッピーディスク、CD(CD-DA)、ベータマックス、MD(ミニディスク)、DV、メモリースティック、BD(ブルーレイディスク)、XQDメモリーカード、CFexpressメモリーカード等々・・・。
すべてソニーが独自で開発したメディアという訳ではないが、メディアの策定に関わったことがあるという意味で挙げてみた。
随分多い印象だ。
これだけのメディアを作ったのだから無くなっていく数も多いだろうとは感じる。
上記に挙げたなかで、2025年現在でも第一線で使われているメディアは、CD(CD-DA)、BD(ブルーレイディスク)、CFexpressメモリーカードの3種類くらいか。
そして今回、このうちのBD(ブルーレイディスク)の生産から撤退する。
前述のとおり、僕もソニー製のブルーレーレコーダーを所有しているのでこのニュースには大きな関心を持った。
それと同時に、随分早く撤退するもんだなと少々がっかりした。

僕は以前、α7IIを約4年間使ったことがある。
キットレンズから始まったが、手放すまでにSEL55F18Z、SEL2470GM、SEL70300Gを追加した。どのレンズも良かったが、SEL55F18Zの色彩描写がとても好きだった。
ソニーのミラーレスカメラ用のEマウントレンズには現在4つのブランドある。
無印のソニーブランド、G、ZEISS、Gマスターである。
図らずも僕はすべてのブランドのEマウントレンズを使ったことがある。
最初のGマスターレンズとして発売されたSEL2470GMは、当時世界最高の標準ズームレンズであるとどこかで聞き、とても気になったので発売前に予約した。オートフォーカスのスピードや作りの良さ、描写性能など素晴らしい点も多かったが、色彩表現はSEL55F18Zの方が好みだった。
Gマスターのオレンジバッジはこれまでにないものだったため、大きく所有感を満たしてくれたが、憧れのZEISSの青バッジのほうが所有感は大きかった。

現在のソニーのZEISSブランドのEマウントレンズは2016年7月発売のSEL50F14Zが最新である。
もうソニーはZEISSブランドのレンズは作らないのだろうか。
GやGマスターとは明らかに異なる描写のレンズであり、スペック表では読み取れないところにも魅力があり、ブランドとして一定の地位や需要を確立していると思っていたのだが。
ZEISSとの関係に何かが生じたのかわからないし、ソニーがZEISSブランドのレンズを発売しなくなった理由も発表されていなかったと思う。
何か事情があったのだとは思うが。

これは僕の偏見だが、ソニーは自分で作っておきながら、自社製品への採用や製造販売からけっこう早く撤退するイメージがある。
記録メディアに限らず、パソコンのVAIO、PDAのCLIE、超高級ブランドのQUALIAシリーなども売却や撤退をしている。
なお、AIBOも撤退したが、長い空白期間を経てaiboとして復活した。これはソニーにしては珍しい例である。

ではカメラはどうか。
コンパクトデジタルカメラのRXシリーズは2019年8月発売のRX100M7が最新機種だ。ハンディカムでは2022年9月発売のFDR-AX45Aしかソニーストアで販売されていない。
どちらもとても寂しい状況だ。
αシリーズは?
こちらはとても元気だ。今はカメラボディもEマウントレンズも製品数が多く、生産も継続されている。毎年春先に行われているCP+というカメラと写真の大規模なイベントでは毎年大きなブースを出している。
様々なショップの売り上げランキングを見ても、常に上位に何かしらのソニーカメラがランクインしているし、ソニーの内部でも明らかに他とは異なる扱いを受けているようなので、撤退に関しては安心かもしれない。
でも、ある日突然、発表しそうな気がする。
根拠は無いが、過去のソニーの行動からそんな気がしてならない。
ソニーのカメラは売れてはいるが、そもそもカメラ業界が斜陽産業であることはソニーも知っているはずだ。
いつどのように身を振れば良いか、ソニーとて考えていないわけでは無いと思う。
そんな斜陽産業であるカメラ業界の中でも、スキマ特化型として生き残っていく道を見出したメーカーもある。
動画特化型のカメラとしてDJI、インスタントカメラとして富士フイルム、フィルムカメラとしてペンタックスリコーがある。
また、最近のカメラ業界では往年のフィルムカメラのようなクラシックなデザインのカメラに人気があり、ニコンZfcやZfを中心に流行っているようだ。
しかし、ソニーには上記に挙げた特化型の製品はいずれもない。動画特化型のアクションカメラはあったが、早々に撤退している。
いまのソニーのカメラには他社が絶対に敵わない「何か」が無い。
今のソニーは新たな価値を生み出すのが得意だったかつての面影が無く、とても淋しい。

CMOSイメージセンサーは作り続けると思う。恐らくカメラより長い期間は。
CMOSを作っているソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は、ワガママなライカやフェーズワンに対して歩留まりの悪い高品質な特注CMOSを納品しているし、ニコンに至っては昔からニコン開発のCMOSの下請け製造をしているので、ソニーグループ株式会社より器用に動いていると思っている。
だが、かつてCCDイメージセンサー事業から撤退したことがある。
僕はこれについては「民生用に限った中では」ポジティブに受け止めている。
当時のデジカメは業界に勢いがあったし、カメラ自体も良く売れていた。
イメージセンサーをCMOSに一本化し、進化のプロセスを早めることに貢献したと思う。
しかし、産業用途では大変な目に会ってとても苦労した。産業用は終わらせたり変更したら駄目だ。担当の営業に対して大暴れした記憶がある。

現在のカメラ市場におけるソニーの躍進は、一眼レフからミラーレスへ移り変わる業界のタイミングに上手く乗れたことだと思っている。
いや、少し違うか。
これからのカメラはミラーレスが主流になる、フルサイズセンサーが最強であるような宣伝をして成功した。
一眼レフからミラーレスへ移り変わる潮流は、ソニーが自ら発生させ、この自分が起こした波に乗って大きく伸びたのか。
この宣伝方法は僕にもとても魅力的に見えた。
多くの写真撮りと同じく、僕も当時はデジタル一眼レフカメラを所有していたが、ソニーのミラーレスカメラに乗り換えた。
あのときの僕はニコンD50と交換レンズを2本しかもっていなかったので、すぐにソニーに乗り換えることが出来た。
しかし、僕の知り合いに5本のレフ機用のレンズをボディと共にすべて手放してソニーに乗り換えた人がいる。
ネットの書き込みなどを見ると、これは珍しいケースではなく、かなりの方々が同じような状況の中でEマウントへ乗り換えたようだ。
マウント換えは大きな決断と出費が伴うものであるため、多くのカメラユーザーはむやみに行えないし、やる場合は熟慮の末に決めるものだと思っている。
そのため、そこかしこで発生するものではないと思っていた。
しかし、実際はとても早いスピードでソニーEマウントへのマウント換えが広がっていった。
僕や多くの写真撮りの考えとは裏腹に、マウント換えは簡単に起こるのだ。

LEICA SL2-S | LEICA Summilux M 50mm F1.4 ASPH.(5th)

10年後、αシリーズはどうなっているだろうか。NEXがαに統一されたように、何かに統一されたり、あるいは名前を変えて存続しているだろうか。
ソニーがミノルタからカメラ事業を譲り受けたのは2006年である。
来年で20年だ。
ソニーグループの定年は60歳なので、当時のミノルタで40歳だった中堅は定年退職する時期だ。
当時30代や20代だった若造は僕と同じ氷河期世代なのでそもそもの層が薄いかもしれない。
こうしてミノルタの血がソニーから消えた後、ソニー内部で撤退あるいは売却などでαシリーズの取り扱いが終了する話題が持ち上がったら、誰か引き留めるのだろうか?
案外簡単に手放しそうな気がする。
こうしてαシリーズはある日突然、終息に向けてとてつもないスピードで進んでいくかもしれない。と、つい考えてしまう。

今後のライバルメーカーは何をしてくるだろうか。
ニコンはREDを買収したことで、非常に強力な動画機能を有するカメラを出すだろう。
キヤノンは最終兵器であるSPADセンサーを民生用に落として来るかもしれない。
ライカにはレンジファインダーに根強い需要があり、さらにコンデジのQ3は絶好調で売れている。パナソニックの技術が多分に使われているため、パナソニックがカメラ事業から撤退するような事態になったら、LUMIXを買収するかもしれない。
富士フイルムは独自のフィルムシミュレーションで一定の地位を確保しているし、先ほど触れたインスタントカメラは市場をほぼ独占している。
では、ソニーの次の手はどうだろう。
CMOSの進化でさらに高性能化を目指すのだろうか?
それも良いが、いずれは頭打ちになるし、そろそろ天井も見えてきた。
というより需要はあるのだろうか?
商業カメラマンならともかく、趣味の写真撮り達にとって、現在最高モデルであるα1II程のスペックを求める層はどれくらい居るのか疑問ではある。
レンズも同じで、スペック競争の天井は見えている。
前述の山中浩之氏の著書において、Eマウントは一応将来的にフルサイズを入れられるように設計したらしいが、試作などは行っていないマウントであると述べられている。
そのため、レンズのスペック競争の場合、他のマウントと比較して口径が小さいことからその天井は他のマウントよりも低い位置にあると思われる。
今のソニーにとって、10年後の姿は、この良い流れを上手く引き継いでいけているだろうか。
もしその姿が見えていないとすると、撤退も十分あり得るのではないだろうか。
マウント換えが簡単に起こることはソニーが一番知っているはずだ。

BDメディアの生産終了のニュースに触れ、ふとこんなことを感じた。
そういえば、ソニーグループ株式会社の十時裕樹社長が4月からソニーグループ株式会社のCEOになるそうだ。
カメラに限らずこの先のソニーに期待はするつもりではいるが、最近の僕は今のソニーがあまり好きではないようだ。